ピエール・テルブランチ、ドゥカティの前スタイリング・チーフであり、ドカの決して短くないスタイリング暗黒時代を形成した張本人とされている・・・・オーナーの方に失礼を承知で、率直に言って、彼のスタイリング、私はまったく食えません。ひどい、とまでは思いませんが、少なくともわざわざ高い金を払ってまで求める気には一切なりませんね。
実を言うと、彼のドカにおける初作品、スーパーモノを初めて見たとき、その今までの2輪スタイルになかった官能的なラインに驚き、今後のドカ・スタイリングを大いに期待したものでした。(私は惚れ込むあまり、使用するあてもないのに、某ショップが本物のスーパーモノから型を起こして製作したレプリカ・カウルを購入したことがあります)
スーパーモノ・スタイルの量産版といえるSS900に関しては、微妙なラインの変化にいろいろ言いたいところですが(そのままで出せ!!)、なによりライトの造形に疑問を感じざるを得ませんでした。
世間の注目を一手にさらったプロトタイプのMHeには、私も例外なく大いに興味を惹かれましたが、量産版での多少の劣化は仕様がないものとしても、スタイル優先としたあまりの、機能および走りにおける勝手の悪さを知ると、一気に気持ちが覚めたことを思い出します。(予約しないでよかった!!)
ST系、999/749系、ムルティストラーダ、ハイパーモタード・・・(ほか何かあったっけ?)新型が出るたびに最新のドカへの気持ちが離れていく自分に気づくのでした。(過去のドカ・スタイリングにあった、最初はムムム・・・どうなのよこれ、と思うものの、時間が経つ=慣れるにつれ、その味わいがじわじわと脳内に浸透していくというプロセスが発生しませんでした。)
最大市場であるアメリカ人には受けるスタイリングなのかな・・・と思い、US在住の知人に当地での評判を聞いてみると、クソッタレというのが概ねの評判であることは日本と変わりがないようでした。
前置きが長くなりました。
そんなテルブランチ・スタイルでも調理次第でごちそうにもなるいうことを、今回、あるカスタムを見て思い知らされたわけなんです。たまたま寄り道した以下のサイトの2例を見て、良いな、かなり良いな、と素直に感心した私がいたわけです。
まずはハイパーモタード。
スタイリング的には社外のビキニカウルに換装しただけなのですが、きわめて高いマッチングが感じられます。
お次が難物、ムルティ・ストラーダ。
あの”おまる”カウルの印象が強烈だったため、細部に目が行ってませんでしたが、タンクやシートカウルの造形は悪くありませんね。上記と同じビキニカウルにすることで、本来持っていたスタイリングの長所が引き出された感じです。
あまりのかっこよさに、オリジナルでは気になって仕様がなかったリジット・マウントのフロントブレーキまわりの造形すら、むしろかっこよくすら感じるのが不思議です。
以上、ベタボメの観も無きにしも非ず・・・しかし、ベーススタイリングの私にとっての食えなさからすると、ちょっとビキニカウルを付けただけで、天地とも違う印象になることに、感動すら覚えたことは確かです。
この強力で便利なビキニカウルって、どこのよ!?と思い、調べましたよ、ええ。
わかる人には一発だったんでしょうね。私は知りませんでした・・・BMWのれっきとした市販車、X-motoの純正カウルでした。
BMWの純正部品の価格は半端ないとの評判ですから、カウルとライト、新品を買うとなると相当しそうです・・・