カスタム・イセッタ
●1970 The Toad by Von Dutch
BMW 600ベースの”Kustom”車。その名は”The Toad”(ヒキガエル)。
製作者のフォン・ダッチ(Von Dutch)ことケネス・ハワード(1929-1992)は、40~50年代、西海岸のホットロッド・ムーブメントにおける伝説的人物の一人。(他、ジョージ・バリス、エド・ロスが挙げられる)
●A Parent and A Child
この手の”子供用”はいくつか見られますが、特に作りが良かったので・・・芝刈り機のエンジン?ペダルカー?
●Propeller Isetta
USのライカミング(Lycoming)社製、空冷水平対向6気筒、7.1L・190HP飛行機用エンジンO-435(1942年~)を使用したプロペラ駆動車。イセッタなのはキャビンだけで、技術的な関連性は全くないに等しいのだけれど、ソリを付けて雪上車としている点が面白かったので・・・
●4WD Isetta
4WDとのことですが、4駆のコンポーネントは何用・・・ということよりもワイドトレッドにされたリアタイヤのフェンダーの形状がかなり自然で気に入りました。
たとえば、下のワイドトレッドのフェンダーは残念な形状です。
●Isetta Taxicab
ミシガン州ニューボストン在住の有名カー・レストアラー、チャック・ミラー(Chuck Miller)氏によるタクシー仕様。ミニマムサイズのイセッタでタクシーというのは、シャレのつもりなんでしょうが、きれいにレストアされたイセッタ、それもカブリオレを使うまで使ってまでにしては大して面白くないような・・・
●Isetta Firecar
消防車仕様です。シャレだけではなく、実際、運用されていたのではないかと。古い都市の狭く入り組んだ道には有効な存在だと思われます。(日本でも古い下町なんかの街並みに消防車が入れないことは長らく問題になっています)
むしろ、左端に見えるラーダ・ニーヴァの消防車が気になりますね・・・
●1961 BMW Isetta 300 Police
BMWの工場でパトロールカーとして艤装された『ホンモノ』ものです。ニーダーザクセン(Niedersachsen)州の警察で使われたとのこと。ポリスグリーンに塗られ、青色灯と無線を装備しています。
こちらのアウトバーン・ポリス仕様はさすがに個人オーナーによるシャレなんでしょうね。
●1957-1967 BMW/RP Morris レールタクシー
1957年式Isetta of GB製イセッタ300を1967年に英国R.P Morris社がレールタクシー用途に改造した車両。車台番号 A10404 の車両で1台のみ製造された模様。
非力なイセッタで貨車を引っ張ったようです。レールタクシーとは日本ではなじみは無い言葉ですが、都電みたいな存在なのでしょうか?
●1957 Isetta Truck
1957年製イセッタを改造したトラック。3万5千USドルで売却希望とのこと。
エンジンは、マフラー形状などから、VWのフラット4の模様。
●1955 BMW Isetta Jagdwagen (hunting car)
当時BMWのCEOだったハンティング好きのKurt Donathのために、イセッタをベースに造られた特別仕様車。2人のハンター、およびその装備、獲物が載せられるようにボディが改造されています。
以下はThe Bruce Weiner Microcar Museumによって造られ、そこで展示されているレプリカ。
●1960~ CHADWICK Golf Cart
ペンシルバニアのChadwick Engineering Works社が、イセッタ300のシャーシ、エンジンを輸入し、ファイバーグラス製のボディを架装し、ゴルフカートに仕立てたもの。
同社のパンフレット。BMWエンジンであることを主張しています。シャーシ構造図はイセッタのカタログから転載したもの。
同社は700ccのユーティリティカーも作っていましたが、これはもしやBMW600のフレームと700のエンジンを使ったものなのでしょうか?
Chadwick Engineering Works は1946年に設立とあります。それよりちょうど30年前、同地に同名の自動車メーカーがありました。両社に関連はあるのでしょうか?単にあやかって社名にしたのでしょうか?
古いほうの Chadwick Engineering Works は、高級スポーツカーメーカー Searchmont Motor Company の若きエンジニアだった Lee Sherman Chadwick が同社閉鎖後、その資産を引き継いで、1904年に設立されました。
Chadwick Engineering Works 最初の作、タイプ9。Chadwick が Searchmont 時代、自身が製作したが Searchmont の経営悪化で世に出なかった4気筒エンジンを積みます。
First Chadwick – Type 9 (4 cilynder)
Chadwick車の中で最も著名な Chadwick Six Model 19 は自身設計の6気筒エンジン(11L、75HP)を積みます。
Chadwick Six Model 19 – Great Chadwick 6
レースで良い成績をとることで高性能を証明し、販売を伸ばすなど、当初、事業は順調でしたが、まもなくフォード・モデルT(1908年)が拓いた大量生産の時代が来ると、Chadwick のような手作り少量生産車にとって厳しい時代となったようで、1916年に資金難で倒産と相成ります。
1909 Great Chadwick 6 Racer (80HP)
モンスター・イセッタ
ミニマムカーに大きなエンジンを載せるのはファニー・カスタムの常道で、有名、無名のモンスター・イセッタが存在していました。
●Powered by VW’s FLAT4
フォルクスワーゲンのフラット4が積まれたドラッグスター。
オフローダーもあります。エンジンが後ろ過ぎですね。
●Corsetta powered by Corvair’s FLAT6
シボレー・コルベア用水平対向6気筒を積んだイセッタ=コルセッタ。
車重はわずか230㎏(500ポンド)で、エンジン出力は150HPだから、1.5kg/HPという驚異のパワーウエイトレシオを実現していることになります。市販のスポーツカーなどあっという間に置き去りにするスーパーバイク並みの加速力が実現されているわけです。(ちなみにオリジナルでは 13 HP、360 kgだから28㎏/HP)
オリジナルエンジンよりはるかに重い6気筒エンジンを積んだ上で、130㎏も軽量化できるのでしょうか?マユツバものの数字であります。
この車は、希望価格 € 18,568 (229万円)以上でオークションに出されるというのですが、まず、なんでこんな半端な金額からスタートなんでしょう?車重の件とともに不可解ですね。はたして売れたのでしょうか?
●Whatta Drag
The Bruce Weiner Microcar Museum がマテル社の Hot Wheels シリーズにある創作車 Whatta Drag にインスパイアされて、それを1/1で造ってしまったもの。
全部で7種類が作られたWhatta Dragのバリエーションの中から、2000年に発売されたオレンジのボディ・カラーを持つNo.213をモデルに選びました。
ベースは1959年式の300。
エンジンは、シボレー製502cu.in.(8.2L)V8に、スーパーチャージャーと2段マニュアル・ギアボックスを組み合わせ、730馬力を発生。
サスペンションはイセッタの製造元であるBMWに敬意を払い「M3」から移植。タイヤサイズはフロント 215/60R14 リアは 285/35ZR18。
実走可能だが、まだ全開で乗られたことはないとのこと。
Isetta John’s dragster
ニュージャージー在住でイセッタのレストアラーとして著名な Isetta John こと John Wetzel 氏が自身の所有者として作製した一台。
チューブラーフレームにチルトアップするカウリングを装備。
エンジンはカワサキの4気筒のように見えますが・・・
John Wetzel 氏のイセッタがミュージックビデオに出演しています。
Before You Wave Goodbye by BODO Zeidler
http://www.youtube.com/watch?v=xx4oeJNn5uA
ビデオクリップ中のナンバープレートを見ると、上のドラッグレーサーと同じものを付けていますが・・・
Izzit An Isetta
レプリカではなく、オリジナルの1957 BMW Isetta 300をベースにホイールベースを56インチ(cm)に拡大して、1989年式のFJ1200のエンジンを積んだもの。
最高出力は 150HP @ 9,000rpm とありますが、ちょっと盛り過ぎかも。0-100km/h 3.5秒、最高速度240km/hともありますが、ベースモデルのFJ1200でも厳しい数字のような・・・
●Hayabusa powered Zetta
Tri-Tech製レプリカ・イセッタ、Zettaに、ハヤブサの1300ccエンジンを積んだモンスター。
0-400mを 12.75秒で走り、0-100km/hを 4.5 秒で到達。製作者は英国サセックス州Uckfieldに在住のFred Parker氏。
現在はこのようなカラーリングとなっています。(イセッタ純正カラーにした方が”羊の皮を被った狼”そのもので良いと思うのですが・・・)
メーターパネルはハヤブサのもの。
●Trimagnum Isetta
トリマグナム(Trimagnum)フレームを使用したというガワだけイセッタ。
主たるパーツ・ドナーとして、フロントサスペンションはオペル1900、エンジンとリア周りはホンダ・ナイトホークS(輸出用の700。日本ではホライゾン750)とのことです。
トリマグナムってなんじゃらホイ?と思って調べてみたら、オートバイのフロントフォーク”以外”全てを大胆に使って造る3輪キットカーのことでした。フレームだけ見るとちょっと不安になる構成です。
しかしカウリング・ボディをかぶせてみるとなかなか魅力的です。(ボディは各自で自作するのか、キットに用意されているのかは不明)このボディで手に入るなら欲しいな。Vmaxあたりをベースにしたらなかなか良いのができるんじゃあないでしょうか!
●1958 BMW Isetta 4.6L
●ALsetta
第2次大戦中の米国製・航空機エンジンであるアリソン(ALLISON)V1710をイセッタ600に積んだもの。アリソンとイセッタからアルセッタと命名。この手の超ド級モンスター・ドラッグスターの製作で有名な Jim Lytle の手による。1967年製。
インディアナポリスに本拠を置いていたアリソン社は、インディカー用エンジンの製作から始まり、後にレシプロ航空機エンジンに参入した歴史を持つ、GM傘下の企業でした。
アリソンV1710のスペックは、V型12気筒SOHC4バルブ・28,000cc(1710cuin.)で、出力は戦時仕様で1,200HPから1,500HP程度。現在、エアレースなどに使用されている個体は、ターボ過給とアルコール噴射で3,000HP以上を絞り出しているとのこと。
アルセッタに使用されたエンジンは2,000HPほどの出力との表記。ターボを付けているようにも見えず・・・かなり盛った数字なのかも?ちなみに、車体色はキャンディかかったメタリックブルーです。
オマケ●Quad Alなんと上記アリソンV1710を4丁掛けにしたウルトラモンスター・ドラッグスターも存在します。製作者は同じJim Lytle氏。意外にもアルセッタよりも前の1965年製。名前はアリソン4基から、クアッド・アル(Quad Al)。出力は 3,000HP x 4 = 12,000HPだって!!ホンマかいな??(ギネスブックに世界最大出力のレシプロエンジンの自動車として登録されていたこともあるようです) こちらもメタリックブルーで塗られており、Jim Lytle氏のイメージカラーなんでしょう。 ベースモデルは一応、トッポリーノということなっています。言われてみればたしかにノーズとキャビンの形状はトッポリーノだわ・・・ とはいえ、ホンモノのトッポリーノがベースに使われるのではなく、それを模したドラッグ用のFRPのガワが市販品として存在しています。トッポリーノというのはミニマムトランスポーターを現す一種の記号なわけです。
現在、このクアッド・アルをレストアしている人がいます。エンジン以外はローテク&やっつけぽく、公称1万2千馬力を地面に伝えられる構造とはとうてい思えない・・・はたして、まともに動いたのだろうか? 公称1万2千馬力を受け止めるには華奢にすら思えるラダーフレーム。前後サスはリジッドでサスペンションは見当たらない。ブレーキは??(パラシュートか?) 一見、ステアするような見かけにはなっているようだが・・・??
各エンジンのアウトプットシャフトは、取って付けたような黒い円筒形のギアボックス?に突っ込まれ、ギアボックスはトラック用の類いだと思われる赤いホーシングにつながっています。はたしてこのホーシングで公称3,000HPの2基分、6,000HPに耐えられるのだろうか? とここまで書いたところで、以下のサイトで事実を知りました。 実は、クアッド・アルは走るところまで漕ぎ着けなかったのです。ステアリング機構も黒い円筒形のギアボックスもダミーです。 以下、Jim Lytle本人の談による事の経緯を書いておきます。 クアッド・アルのプロジェクトは、著名な、34年型フォードセダンのガワを被せたアリソンエンジンのドラッグスター、ビッグ・アルをRay Alleyに売却した直後に始まったとのこと。
その頃、Jimと気心の知れた仲間であるRon Jolliffeがアリソンを2基並べたクーペを設計していて、それを見たJimはいっそのこと4基にしたらと提案し、そこからクアッド・アルのプロジェクトがスタートしました。 なんと初期のレイアウトの検討は、amt(USのプラ模型メーカー)のキット、4つのアリソンエンジンとトッポリーノのキットを使用して行われました。 最も意外に思われたのは、エンジンの入手が容易だったということ。Jimによれば、1965年当時、モディファイすることなしに3,000HPを出すアリソンは、いつでもわずか$50~150ドルで購入できたとのことです。それゆえ、クアッド・アルの製作費は全部で$2,000しかかかっていないとのこと。 いくつかスポンサーがつき、Cal Automotiveはファイバーパーツを、Moonはタンクを、チャンピオンはアリソン用のスペシャルプラグを用意してくれ、残された彼の仕事はクラッチとギアの組み込みだけでした。 しかし、プロジェクトはそこで突然終了したのです。必要なピストンセット、クラッチアセンブリー、ギアは$5,000もしたのですが、Jimは有能な図面工として週$110の収入があり、金銭面の問題ではありませんでした。 1965年の暮れ、Jimは$4,000でクアッド・アルを売却するオファーをしぶしぶ受けたのでした。買い主はスタントマンのTex Collinsで、彼はすでにファイバー製造業者であるCal Automotiveを買収しており、クアッド・アルを仕上げる手段を持っていました。彼は自身でクアッド・アルをドライブしたいと考えておりました。 クアッド・アルが動くようになる前に不運は起こったのです。Texは(馬の売買上のトラブルで)銃殺されてしまったのです。彼の未亡人は、彼が集めていた何ダースかのアリソンほかクアッド・アルのシャシなど全てを売却してしまいました。 幸い、クアッド・アルのシャシは2人のオーナーの手を経て、現残しています。現在、上にあるようにレストア中であります。 クアッド・アルのシャシの現オーナーと対面したJimの弁、『彼は最後まで仕上げるつもりと聞いた。ただ問題はエンジンだ。1947年で全ての生産が終了し、現在、飛行機野郎どもが血眼でアリソンを捜していて、60年前の中古エンジンに$40,000の値段が付けられている。クアッド・アルにはそれを4つも必要とするのだから』 現在は上にあるよう、すでに4基のエンジンがシャシに載っています!!(当方の見解としては動力伝達系が最難題だと思われますが・・・) |
オマケ●放出アリソンV12の事情 『アリソンはいつでもわずか$50~150ドルで購入できた』という非常に興味深い話について。(似たようなV12レイアウトのパッカード・マーリンV1650が、という話にならないところがミソなのかもしれません(笑)) 戦後すぐにジェットエンジンへ急速に転換したことなど、アリソンV1710の在庫が使い道のない余剰物資としてもてあまされていたのでしょうか?とはいえ、腐っても航空機エンジン、コストがたっぷりかかっていることは間違いなく、きちんと動くものが$150で買えるということがありうるのだろうか? 1964年式マスタングのベースモデルが$2,368。今の貨幣価値に換算するのは、10倍ないし20倍くらいとすれば良いでしょうか。それでも$1,500~3,000。ちょっとした車のエンジンでも買えない金額ではあります。 この辺の事情は機会があったら調べてみたい次第。 |
オマケ●ミシガンのキチガイ男、E.J.ポッターの場合アリソンV12を2丁掛けにしたのは市井のホットロッダーだけではありません。 アリソン製V-3420エンジンは、同社製1500HP級V型12気筒エンジンV-1710を2基、並列に結合した3000HP級W型24気筒エンジンです。(実際には2885HP程度) V-3420は主に大型爆撃機に使用されておりましたが、それを戦闘機に使用しようとして大失敗した例があります。採用したエンジンのみならず、その機体の成り立ちや経緯も興味深いものがありますので、ここに紹介いたします。 その戦闘機とはフィッシャー P-75 イーグル。GMの車体製造部門であるフィッシャーが機体の製造を担当しました。(GMの車体製造部門!このへんだけでなにやら怪しい空気が漂ってきます・・・) その機体の成り立ちには、既存の定評あるパーツを流用して新しい一機を仕立て上げれば、開発の期間とコスト、さらには製造コストまで大きく削減できるという目論見がありました。(採らぬ狸の皮算用に終わりましたが・・・) 具体的には、カーチス P-40 ウォーホークの主翼(当初、ノースアメリカン P-51 マスタングのものが候補でしたが設計者を同じくするP40の主翼が採用されます)、ダグラス SBD ドーントレスの尾部、チャンス・ヴォート F4U コルセアの主脚が選ばれました。 P-40 / P-51D
SBD / F4U 巨大なW24エンジンは運動性を高めるために機体中央に置かれ、延長軸を介して、機首先端の二重反転プロペラを駆動する構造を採っています。(ラジエターは機体下部に置かれ、このエンジン位置のため、エンジンオーバーヒートに悩まされることになります) 試作機 XP-75 試作機 XP-75 は6機製造され、1943 年 11 月に初飛行しましたが、寄せ集めというコンセプトが悪かったのか、はたまた別の理由か、機体の不安定さを露呈し、惨憺たる結果で終わりました。 改良型 P-75A では、主要な主翼や尾翼においてはパーツの寄せ集めをやめ、独自に再設計されます。(ここで当初の目論見は、なおざりになってきます) P-75A も6機が製作され、テストが行われましたが、不安的な運動特性は相変わらずで、またエンジンも想定したパワーを出しておらず、テスト中、3機が墜落事故を起こすに至り、ここで計画は完全に見限られることになります。 国立米国空軍博物館(National Museum of the United States Air Force)のホームページでは、P-75Aについて、『米国空軍は2,500機のP-75Aを発注したが、機体の性能は不十分であること、さらには3機のイーグルが墜落するのを確認したのち、1944年11月8日、計画はキャンセルされた。』という事実のみを淡々と書いています。 改良機 P-75A さて長い長い前置きの後、本題です。 1941年生まれ、2012年に71歳で世を去ったElon Jack Potterは、ミシガンのキチガイ男の異名で名を馳せたホッドロッダーで、アリソンV12の狂信者でありました。彼は常識外れたパワーを持つホットロッドの製作で有名で、歴代の彼の作は以下の通りです。 シェビーのスモールブロックV8を積んだハーレー(1960年)が彼の処女作となります。その後、フレームからすべて完全オリジナルの車体となり、1968年に167.04mphの最高速の記録を、1970年には1/4 mile・8秒68のギネス記録を残します。 1963年には、57年製プリムス4ドアセダン(147 mphを記録)に、翌1964年には64年製ダッジ・ダート(152 mphを記録)にアリソンV12を積んだドラッグスターを製作します。 スーパースロットカーは、1967年に製作された電気式ドラッグレーサーです。文字通り、実物大のスロットカーで、モーターは航空機用ジェットエンジンのスターターモーター(200馬力)を流用。アリソンV12を発電機として使用し、2本のワイヤーに電気を供給。最高速は120mph(192km/h)に達しました。電気自動車とは、時代を先取りしていたものの、ドラッグレーサーとして成功したとはいえませんでした。 1971年、1,200HPのジェットエンジンを積んだオートバイを製作。パラシュートが上手く開かずクラッシュ。このバイクはイーブル・クニーブル(Evel Kneivel)に売却されました。 1973年、ドラッグレースから足を洗うと、トラクター・プリング(トラクター同士の綱引き競技)の世界に足を踏み入れます。 次にEJは、アリソン製V-3420を手に入れると、それもトラクターに積み、”Double Ugly”と名付けます。それでEJは、1981年と1982年の2年連続、カリフォルニアでインディ・スーパープルとは別の団体が行うトラクター・プル競技の”World Championship”になりました。 クアッドアルではお飾りだったV12気筒4基も、その半分の24気筒ではありますが、見事動いています。これならばW型24気筒を直列に2基おいてもきちんと動かすことができたでしょう。 |
オマケ●ドラッグレースにおけるアリソンのパフォーマンスhttp://www.draglist.com/lists/fcq32.xt Tex Collinsの記録と同時期あるいはそれより以前に速いタイムを出した人は、1970年に40人、1969年に30人、1968年に14人、1967年に5人、1966年に4人と、合計93人です。クラス別で見ても、Tex Collinsと同じAAFCには、1970年以前にTex Collinsよりも良いタイムを出した人は81人もいます。 つまり、ダントツの出力を持つバケモノ・エンジンであるアリソンを持ってしても、同時代はおろか過去に対しても圧倒的優位にいられるわけではない、ということ。さらに上のリストに記録を残している中で、アリソンエンジン使用車はTex Collinsひとりであります。以上より、アリソンエンジンはドラッグに向いたエンジンとは言い難い、と言えるのではないだしょうか。 それでもアリソンにこだわったというTex Collinsには共感するところ大ではありますが。 |
オマケのオマケ●アリソンとトッポリーノのキット Jim彼自身がレイアウト検討用に作ったというキット。(リアタイヤはまだ2個!) NHRA Museum に展示されているキット。 Jimの話で検討用に使ったという amt のアリソンとトッポリーノのキットのことを聞いたとき、同スケールで存在するのか!?という疑問を抱かざるを得ませんでした。まあ、トッポリーノはあるでしょう、amt 十八番の1/25のドラッグスターで。それでは、1/25スケールのアリソン!?一体、そんなものあるの?何かの思い違いで・・・は決してなく、下の画像の通り、実在します!! 箱にカスタム・コンペティションとあるように、ドラッグカスタム用パーツとして用意されているよう。(さすがドラッグレースの本場!!) 1/25 amt CUSTOM-COMPETITION ALLISON ENGINE こんな楽しいアソートパックもあったりします。バカでかいはずのV8エンジンと比べても、アリソンの巨大さが分かります。 1/25 amt COMPETITION Parts Pack 左が amt 1/25 トッポリーノ。40数年モノの比較的新しいパッケージと思われますが、なぜか amt のロゴが見当たらない。右は同じ amt 1/25 でアリソンエンジンのドラッグスターのモデル。関連商品としてご紹介。ドラッグレースもプラ模型も勢いのあった当時の楽しげな雰囲気が、ボックスアートから伝わってきます。 1/25 amt FIAT COUPE & ALLISON THNDERLAND ちなみに amt のトッポリーノにはちゃんと実車のモデルがあります。 今回の話題とは直接関係ありませんが1/12というビッグスケールのトッポリーノ。こういう需要があるのか!と驚き。 1/12 LINDBERG Luv Buggy 余談の余談になりますが、1/32でも amt ではありませんが、トッポリーノとアリソン(カーチスP40のエンジン付キットで)がそろいます。トッポリーノがモノグラム、アリソンはレベル。どちらも60年代のキットだから時代も合っています。 1/32 Revell Curtiss P-40E 1/32 MONOGRAM HEMI FIAT |
シーズン1 おしまい