端から見るだけでは、すばらしい、としか言いようが無いホイールのユーザーが目にすることの無い内面・・・その2

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 Rホイールのハブ部分です。何が起こっているのか、一見、わかりにくいですが・・・・

 エンジン出力は、チェーンを介してリアスプロケットに伝えられるのは見たとおりですが、ほとんどの中~大排気量用リアホイールの内部には、その伝達時の衝撃を和らげるためのダンパー箇所があります。

 画像のホイールのダンパー構造は、ホイールハブ側に5本のスタッドボルトが立っており、一方、スプロケットハウジング側には5つのドーナツ形状のゴムダンパーがあり、ハウジングがホイール側のスタッドに差し込まれるようになっています。

 そのスタッドボルトが5本とも破断してしまっているのです!!

 ボルトの破断面を観察すると、5本とも金属疲労によるものでした。つまり、取り外す段階ですでに5本のボルトは完全に破断していたのです。(さすがにボルトは5本が同時に折れたのではなく、何本かづつ、徐々に折れていったことでしょう)

 これって、たまたまホイールを外して初めて判明した事実ですが、その直前までバイクは(完全じゃないにしろ)走っておりました。

 ホイール側を観察すると、スタッドボルトが立っている箇所のザグリの円形が、わずかですがホイールの回転方向に楕円形に変形しています。ここのわずかの段差に折れたスタッドが引っかかることでかろうじてエンジンパワーをホイールに伝達してのでしょう。

 奇跡、と言っては言いすぎでしょうが、なんにせよ幸運にも最悪の状況は避けられたわけです。

 さて、スタッドが折れた原因は何だったのか?たいていここを折るのは長期間にわたるチェーンの張り過ぎが原因になることが多いですのですが・・・この車両には長らくそういう時期があって、そのとき蓄積していた金属疲労が、ここにきて(走行1万数千キロで)一気に開放された・・・と考えるしかありません。