刀狩り
「刀狩り」なんていう有名な史実がありました。そう、豊臣秀吉が太閤検地と一緒におこなった・・・って、違ーう!!
1980年のケルンショーで衝撃的にデビューしたスズキのカタナ1100、
1982年には国内仕様として当時の上限排気量750㏄で発売されるのですが、初期の750のハンドルは、当時の「お役所の指導」に則り(低いセパハン、カウルやオイルクーラーは暴走を助長するものとして「自主規制」させられた)、不恰好なアップハン(通称、耕耘機ハンドル)が採用されたため、
カタナ750オーナーたちは、こぞって輸出仕様のハンドルに交換、ケーサツは、その「改造」ハンドルを「違法」としてせっせと取り締まったそうな。
他にも・・・ビモータが知る人ぞ知る、今よりはるかに珍しかったオートバイだった頃のお話。
ケーサツ「改造車に乗ってんじゃねーぞ!」
ビモータ・オーナー「これはビモータというイタリアのオートバイでノーマル車だ!」
ケーサツ「ウソ言え、エンジンにホンダと書いてあるじゃねえか!」
ええ、笑い話ではありません。実話です。
かようにカスタムに関し、国家権力は理解を示すまでもなく・・・無関心ならまだマシ、それどころか、厳然たる否定の態度を貫いてきたのです。
黒船来航
「バイクとかクルマをイジってるヒマがあったら、仕事しろ!!」
日本の経済成長は、このストイックな精神で支えられてきたのです。(ウソ)
そんな中、ついに黒船がやってきました。1995年に合意された日米自動車部品協議。これは米政府が日本に自動車部品の市場開放を求めたものなんですが、その中で、アメリカ製のカスタム部品の拡販を見込んで、日本のカスタムを許さない保安基準を見直すことも迫ったのです。
この合意により、自動車、オートバイの合法な改造範囲は、以前と比べれば夢のように広がったのです。
かように現在の状況は、一般には、日米自動車部品協議の賜物、とみなされています。しかし!実は、それ以前に、ある隠された事実があったのです!!
日本で一番有名な黄色いビートル
下の一連の写真は、「1989年8月30日 那須御用邸周辺をドライブ」とのキャプションがつく、パッと見、日本のとある高名な家族のドライブの一場面に過ぎませんが、実は大きなバクダンを秘めていたのです。
礼宮の愛車である黄色いビートルは日本で良く知られた存在でありました。最初はアルミホイールが履かされたくらいの「ノーマル車」だったものが、彼の口ひげが生えそろった頃までには、気合の入った改造車に変貌していたのです!!
この改造ビートルの画像や映像が、「皇室も自分で車を運転する時代になりました」という意図で、新聞、週刊誌、TVで、ガンガン流されたのです。
ここで頭を抱えたのが、保安基準カンケイのヒトたち。ある意味、自動車のカスタムが皇室御用達となった瞬間でもあったのです。(まー、皇室で使っている車のほとんどが、バリバリのカスタム車なんですがね!)
実際、これ以降、カスタム車に関して、国家権力として、以前ほど厳しい態度は取らなく(取れなく)なった、と聞きます。事実上の「地ならし」となったわけです。
黄色いビートルを見ると幸せになれる
オヤジ、オフクロを乗せたり、
オヤジが運転したり・・・
デートに使ったり、と縦横無尽のビートル。
これほどのVIPでも、当然のごとく、シートベルトはしていません。
ちなみに礼宮に、このビートルをすすめたのは、後年、紀宮と結婚された御学友、ロータス・エリーゼに乗るカーエンスー、黒田慶樹氏とのことです。Good Job !!
礼宮のビートルは1940年型フォードをパロディ的にレプリカするキットを装着したもので、70年代にUS西海岸を中心に流行ったビートル・カスタムの文脈の中のひとつです。(1940年型フォードがモチーフに選ばれたのは、ベース車両が(ホッドロッド界で)人気車であること、なにより形が似ているからでしょう)
1940 Ford Coupe
一連のキットのうち、ロールスロイスをモチーフにしたものが、そのパロディ精神において象徴的なのではないでしょうか。 黒田氏、本当は(オヤジの本物ロールスに倣って)このロールス・レプリカに乗らせようとしたのだが、先方で、さすがにこれはシャレが効きすぎるのではないか・・・と言う判断があり、一歩譲ってフォードの方となったのではないか・・・と妄想。
1960 Rolls Royce Silver Cloud II & the replica
他、「権威」をおちょくる(=パロディ)ひとつの手として、お金持ちであれば、ホンモノのロールスロイスのリムジンをこのような色に塗ってみるとか・・・
その逆、ド大衆車をリムジンに仕立てる手もよく使われます。世界4大長寿大衆車、VWタイプI、シトロエン2CV、フィアット500、BMCミニが代表的なベース車です。(それらがベースに選ばれるのは、その知名度だけでなく、どれも駆動系がFFかRRのため、ボディをストレッチしやすいことが大きな要因と思われます)
率直に言って、素人細工のガタガタなものが多いのですが・・・その中でも仕立てが良いと思われたものをピックアップしました。私が重視する点は・・・伸ばされたボディの整合性はもちろんなのですが、ドアの開き方がリモの文法に則り、観音開きになっていることですね。
残念ながら、この2CVリモは観音開きではありません。
500のリモはイタリアン・ジョブらしくガタガタのものがほとんどなのですが、これはギリギリ合格点でしょうか。(エラそう)ドアは『逆』観音開きです。(初期型500の特徴である前開きドアを活かすとしたら、こうするのが無難なのでしょう)
ミニ・リモも粗製乱造が多いのですが、この車両は出来が良いです。ポイントである観音開きを外していません。
そしてある意味、今回の真打がこのリムジン。顔だけみるとフィアット850?と思ってしまうのですが、チェコの国旗がはためいているのをヒントに調べると、自国のシュコダ100ですね。
シュコダ・リモの製作者はシャレでガタガタに造っていると信じたいところですが、共産圏メイドと決して笑えません。西側の出来の悪いのと50歩100歩の作りかも?