1978年から2007年まちょうど30回開催されている鈴鹿8耐ですが、今ではただ、毎年夏ごろにやっているだけ、という観が否めませんが、かつてどれほど盛り上がったことか。
いろいろ意見はあると思いますが、私にとって85年のレースがベストですかね。750になって2年目の年。80年代のバイクブームが追い風にありまして、私もはるかに若く感受性も鋭かったゆえ、見るもの聞くものすべてが面白くて仕様がなかったという事情を差し引いても。
まず、出場バイク。今では考えられないくらいの多様性がありました。プライベーターが生き生きとしていた時代でしたね。その頂点、ヨシムラ、モリワキの黄金時代はまだまだ続いておりまして、残念ながら、83、84年とあったドカのエントリーはなかったのですが、ミントのBMW(R80のスケールダウン750cc)、フクイのビモータHB(CBX750Fエンジン)、4輪コンストラクター童夢が送り込んできたカーボンフレームのDCF1、同じく4輪系の無限によるホワイトブルもスタイリッシュでした。2ストローク(RG500Γ)やシングル(SRX600)なんかもまだ走っており、ツキギのニンジャレーサーもこの頃。FZ750エンジンを持ったハブステアのマシンとかあったなあ。カスタムショーもかくやといわんばかりの多彩さでした。
そして出場ライダーのメンツ、話題性。国内4メーカーの8耐への力の入れようはすさまじく、一線級のGPライダーを惜しげもなくスポット参戦させていました。その華やかさといったら・・・WGP引退間もないキング・ケニーと日本国内ではスーパーヒーローだった平選手によるペア結成とか。そういうメンツに、ヨーロッパの耐久レーサーたちが、日本の地元レーサーたちが、どれだけ食い込めるかというのが見所でもありました。
さらにレース自体のドラマ性も。チェッカー30分前までトップを走っていた平選手の突然のスローダウン、そのままリタイアという大番狂わせ。テック21(資生堂の男性化粧品)カラーに塗られたYZF750も、サーキットに映えました。まだまだ、非2輪産業で統一されたスポンサーカラーは珍しかった時代です。