以下の画像はノーマル400のピストンとジェラドーニの540ccピストンの比較です。
400のボアアップキットは昔から根強い人気がありました。80年代から90年代前半まではジェラドーニの540ccキットが主流で、POSHも512ccのキットを出していました。現在はBUCCIの520ccキットが売られています。
以前に話題にいたしましたBS比(ボア・ストローク比)を鑑みれば、400ノーマルのBS比0.72(B:70.5mm / S:51mm)てーのは、ある理想値0.70(絶対ではない)にかなり近い値ではあります。
ジェラドーニの540ccキットのボアを排気量から逆算すると、82mm程度でBS比は0.62。POSHの512ccキットは同じく、80mm、0.64。BUCCIの520ccキットは、80.5mm、0.63といったところです。
画像を見て分かるとおり、ジェラドーニのピストンは、ノーマルピストンを原型にして、スキッシュ部分(ピストンのふち)をそのまま拡大させボア長を広げ、一方、燃焼室容積をかせぐ(圧縮比を調整する)ためにピストン頂部をめり込ませた形状になっています。 これで結果的に当初の予定通り、排気量を35%ほどアップさせ、適当な圧縮比を持たせることができるんでしょうが、まあ、無様な格好のピストンだよね。組んでしまえば見えないところとはいえ。性能面で評価するにしても、熱力学的にも、流体力学的にも、良い形状とは思えない。
たまたま、友人のM氏と当方の手元にあった540ccピストンを見て、「もっといいピストンを造れるよね」と意見が一致し、2人の思うところを加味し、生まれたのが今回ご紹介している606ccキットなのです。以下画像がそのピストンです。
つづく