90年代のドゥカティのLツインはキャブが比較的高い位置にあるため、重力による自然落下ではタンクからキャブまでの安定した燃料供給は難しく、燃料ポンプでガソリンを圧送しています。
900SSはdb2にエンジンを提供していますが、そのポンプはインタンク式といい、その名の通り、タンク内でガソリンに浸るように設置されています。一方、db2はタンク外部にポンプが設置されたアウタータンク式であります。
インとアウト、どちらが良いかは・・・メンテナンスを優先させるならば、アクセスが容易なアウター式の方に軍配が上がりますが、無骨なポンプとパイプ類が外から見えてしまうというデザイン上の問題があります。(カウル類で隠せればよいのですが)
で、本題のdb2のポンプについて・・・菱のマークがバッチリ入った三菱製。奥さん、これで安心!一流メーカーの国産品ですよ、と言いたいところなんですが、なんだかよく壊れるんですよ。(ポンプが止まってしまえば、エンジンはガス欠で止まってしまいます。)
燃料ポンプはいわば、ダイアフラムの付いた巨大な電磁石で、接点をオン・オフさせることで、軸方向に電磁石を、それにあわせてダイアフラムを動かしています。
トラブルは、軽微なところで、接点の焼きつき。これは割としばしば起きるのですが、接点を磨きなおせば、また元気よく動き出してくれることがほとんどで、出先で起きてしまうとそれなりに厄介ですが、その場でも何とかならないこともない、というレベルです。
それ以外はケース・バイ・ケースになりましょうか。今回、たまたま?立て続けに2個のポンプが壊れてしまったので、その詳細をご紹介しましょう。
先に話題に出したdb2に付いていたもの。納車整備中に、何かポンプの動きが不安定だな、と思っていたところ、ついに完全にご臨終。(納車前に発覚したのは不幸中の幸いでした。)
写真の矢印の個所の断線が臨終の原因でした。
断線した経緯を推測すると・・・・ここは、ごく普通のビニール被覆が付いた銅線でしたが、その被覆がポンプのメンテナンス時などに引っ張られたり、こすれたりしているうちに破れてしまい、中の銅線がポンプボディとショート。銅線は抵抗化し、最終的に熱で断線・・・といったところでしょうか?
この個所の修理は難しい・・・修復作業自体は線を引き直すだけなので単純なんですが、ポンプは非分解ゆえ、断線した部分に触れないのです。なお、他のポンプでは、この線は、非常に強い被覆の線が使われていました。対策されたのでしょうか?
そして、情けないことに交換したポンプもまもなく逝ってしまったのです。
上でダメになったポンプの代わりに、手持ちの中古ポンプを用意したのですが、所詮、中古というのが悪かったのか・・・。
写真で見ると、接点部分がひどく腐食しているのが分かりますが、実際はポンプ内側の電磁石の問題でした。中で断線を起こしたようで、導通がなくなっておりました。(接点の焼きつきなどで、内部のコイルに過重な電気がかかったとか?)
それにしても・・・このポンプって、ホンダ、ヤマハ、そしてカワサキでも使われているんですよね。(スズキに関しては未確認)結構、ポピュラーな製品のはずなんですが・・・国産バイクに付いているのって、トラブル起こしていないんでしょうか??
え?新品を使えって・・・・ごもっとも。