2003年の9月ごろ、USのオークションサイトeBAYに非常に珍しいバイクが売りに出されました。(私はUS滞在中の友人にそれを教えてもらいました。)

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 それは、ドカの750F1にホンダのRFVCヘッド、シリンダー(HRC製ダートトラック用と思われる)を移植した文字通りの「異色」作で、DUCATIとHONDAを組み合わせ、DUCONDA(ドュコンダ)と命名されていたものでした。(日本のバイク雑誌でも紹介されたことがあるので、ご存知の方もいらっしゃるのではないでしょうか。)

 ドュコンダは1988年、HRCのレイ・プラム(Ray Plumb)とブレイン・ヤシタ(Brian Yashita)の協力の下、HRCから機械加工を請け負っているホーマー・クナップ(Homer Knapp)とエリー・シュレス(Ely Schless)によって造られました。
 
 初レースは1988年3月のデイトナ、バトル・オブ・ザ・ツインズで、ケヴィン・エリオン(Kevin Erion)によって、予選で172mph(275km/h)を記録しました。これに次ぐ速度を出したのが、ロジャー・マーシャル駆るクオンテール・コスワースでした。予選3ラップ目に、チタン製コンロッドが変形したため、クランクシャフトを駄目にしてしまいました。
 
 ドュコンダには削り出しで造られた特別のストロークを持ったクランクシャフトが組み込まれ、その年遅くのエルクハートレイクのレースを走りましたが、依然、フューエル・インジェクションのトラブルに悩まされておりました。
 
 新型のハルテックのフューエル・インジェクションが組み込まれると、カリフォルニアのウィロー・スプリングスのレースにおいて、本戦5ラップ目に削り出しクランクシャフトがだめになるまで素晴らしい走りを見せました。
 
 この頃、本家ドゥカティは888をリリースしますが、それのクランクシャフトは、鍛造で、より大きなジャーナルを持ち、ドュコンダにおいて適切なストロークを有していました。その新しいドゥカティ・クランク用のコンロッドがキャレロにオーダーされ、それらがドュコンダに組みまれると、ようやくドュコンダは首尾よく走るようになりましたが、それ以来、レースに出ることは無く、1992年、ちゃんと走る状態のまま、非公式に引退することになりました。
 
 今の状態から、バイクを走らせるためには、ボッシュのインジェクター2つとフィルター、新しいラインを必要とします。ブレーキもラインが分解されており、組み立て直した後にブレーキ液を注入する必要があります。新しいバッテリーを用意し、インジェクション・システムを引きなおさなければなりませんが、エンジンは130馬力のチューニングまで機械的な問題はありません。インジェクション・システムは信頼性があり、セットアップやチューンもMS-DOSで動くマッピング・ソフトウエアを使って容易にできますが、現在、HRC製パーツが入手困難であること、数え切れないほどのワンオフパーツが使われているゆえ、ドュコンダはサーキットを走るのではなく、コレクターによって保存されるのが一番良いと思われます。
 
・1036cc 100mm x 66 mm (bore x stroke)
・アート製HRC鍛造ピストン (圧縮比 13 : 1)
・HRCファクトリーがポーティングした4バルブ サイアミーズ構造 RFVC 砂型鋳造ヘッド
・メガサイクル製HRC仕様カスタムベルト駆動カムシャフト
・ルフトマイスター=ハルテック製プログラム可能なフューエルインジェクション
・チタン製バルブ
・キャレロ製クロモリコンロッド
・3番目のメインベアリングを持つドゥカティ888用クランクシャフト

 開始値$7,500で出品されていたのですが、私が見たときはビッドはありませんでした。その後は確認しませんでしたが、落札されたんだろうか?