1/48 ARC – GEE BEE RACER & LAIRD SOLUTION RACER
アルカンシェルとなんぞや?
飛行機モデラーには多少は知られているのかもしれませんが、当方は今日まで一度たりとも見聞きしたことがないブランドです。WEBで検索しただけでは、ジー・ビーと同様の態で、「セイバー」、「百式司偵」、「ツインムスタング」を80年代(一説には1984年)に販売していたということくらいしか分かりません。
こうなると、組立説明書に記載された所在地「台東区蔵前4-5-1」だけが手がかりです。当該住所をグーグルマップで見てみると、「イリサワビル」という5階建ての古びた建物が建っていました・・・イリサワ?ここで模型マニアにはピンとくる人がいるかもしれません。あの老舗の模型問屋ではないか、と!
ビンゴ!!イリサワのHPで、本社が昭和26年10月から年平成7年8月まで「台東区蔵前4-5-1」にあったことが確認できました。なんらかのつながりで古い金型から打たれたキットをランナー状態で入手した大手模型問屋が、自社ブランドとして箱詰めし、自らが持つ販路に乗せたのだと思われます。
[追記] アルカンシェルは韓国メーカーとの情報も得ました。
Gee Bee Racer の源流
元々はイマイ(今井科学)の金型とのこと。実のところ、イマイのキットはホークのコピーでした。しかし単なるデッドコピーではなく、フラップとラダーを(意味なく)別部品にして後追いとしての気概をみせています(笑)
当初、スケール表記は1/50。コピー元は1/4″(1/48)スケールなのですが、この時代、「世界の名機 1/50 シリーズ」でマルサンが開拓した1/50市場に、多くのメーカーが追随したのです。イマイも例外ではありませんでした。
まもなく本来のスケールであり国際標準でもある 1/48 に表記を変更しています。
1969年、イマイ一度目の倒産後、イマイの業務を引き継いだバンダイに金型は流れ、
さらに香港のエンテックスに金型は売却され・・・最終的にアルカンシェルブランドとして販売されるという生々流転の人生・・・否、キット生。
ホークの初版はなんと1949年!!
「ジービー・スポーツスター」、「ハワード “イケ”」、「カーチス R3C-1」(US最古のフルプラスチックモデル)、「レアード・ソルーション」の4機パック・・・・レアード・ソルーション!出たー!!
箱替え
1970年にホークはテスターに買収されると”テスター・ホーク”表記となります。
箱替えを機に”テスター”単体表記に。
御年60歳!!異例の長寿モデル
レアード・ソルーション
レアード・ソルーションも当然、イマイによるホークのキットのコピーです。ジービー同様、フラップとラダーを別部品として差別化(笑)当初、「1/50 ブルーファイター」(1964年)として世に出たようですが、1/48への改表記時に本来の「レアード・ソルーション」に改名。実はジービー(1965年)よりも先に世に出ています。
金型バンダイには流れ、
さらにエンテックスに流れたのはジービーと同じ。
アルカンシェルの他のキット
以下2機はマルサンの金型。
玉石混合と言われるマルサンの「世界の名機 1/50 シリーズ」の中で、「橋本喜久男」氏が手掛けた セイバー、零式水偵、百式司偵が傑出した内容を持っており、三大名作キットと言われています。そのうち2作がアルカンシェルによって再販されたということになります。
出所不明のアルカンシェルのツインマスタング。
ツインマスタングの各パーツはランナー配置が異なるものの、形状はモノグラム製と全く同じ。さらにランナーにハングル文字とMADE IN KOREAの彫刻があり、識者によれば韓国メーカーによるモノグラムのコピーではないかとのこと。
それもボックスアートを見れば一目瞭然です。モノグラムのキットを・・・
イデア/アイデア(韓国)がコピーし、
ミニクラフト(カナダ)とアルカンシェル(日本)に供給したと。(ボックスアートが4社で共通(笑)です!)
同じ韓国製コピーキットが箱を替え、「タカ鈴商」なるブランドからも発売されています。タカ鈴商のロゴマークがオオタキのものと似ていることは大きなるヒントで、オオタキ倒産後に元社員が立ち上げたメーカーとのこと。
1/75表記の日東製キット。試作機であるXPを名乗っていますが、これはどれかの系譜に連なるものなのでしょうか?