下の画像のエンジンは、オーストラリアはメルボルンのイアン・ドライスデイル(Ian Drysdale)氏率いるドライスデイル・モーターサイクル社が製作した Godzilla V-Twinで、現在、試作段階にある。
ドライスデイルはヤマハFZR400のヘッド&シリンダーを2基使ってV8としたドライスデイルV8(750ccおよび1000cc)を世に出し、有名となったが、その後もいろいろと興味深いエンジンを製作している。
ロイヤルエンフィールド・バレット500のヘッド&シリンダーを2基、55度のバンク角に配置したカーベリー(Carberry)・エンフィールドV2。ノーマル・バレットのボア、ストローク、84mmx90mmに変更はなく排気量は998ccとなる。
なんと(怖れ多くも)MotoGP向けの988cc V8まで計画にあり、現時点でモックアップの段階で留まっているが、MotoGPのレギュレーションに最大4気筒までの気筒数制限ができたため、幸か不幸か、このエンジンは世に出ることはないと思われる。
意外にも量産エンジンの設計も行っており、画像の400cc・3気筒は、香港のVento社製ATVに使用されているもの。同じエンジンでオートバイ(Vento 400 Cafe GT)も試作されたが、量産には至らなかった。
Vento s and who may soon be as Caffè Triplo cafe racer. Okay, you understand the message – this is a guy who makes things …
話を元に戻すと・・・ゴジラエンジンは現在、1398ccであるが、1602cc および 1836cc仕様も予定している。1398ccは78馬力(55.8馬力/L)であることに対し、1602ccは自然吸気で100馬力(62.4馬力/L)、スーパーチャージャーによる過給で140馬力(87.4馬力/L)を発するとしている。
1400ccの排気量で78馬力のOHV4バルブ、50度Vツインは、もはや排気量の大きさでは既存の量産エンジンよりも後れを取るが、他にはない特徴が2点ある。
一点はコンロッドで、航空機用星型エンジンと同じ、主&副コンロッドの構造を採っている。
この機構は、隣り合うピストンを同一表面上に置く、いう目的のために採用されている。同様の目的で採用されるフォーク&ブレード型コンロッドは、、ハーレーが使用していて、より一般的といえる。
ドライスデイル氏は、フォーク&ブレード型コンロッドはP&W R-4360 ワスプメジャーから着想を得たとしている。彼は、星型7気筒エンジンx4重連=28気筒、総排気量71.5LのR-4360を実際に購入している。
ドライスデイル氏は、フォーク&ブレード型では馬力を上げると強度的なボトルネックとなる、としているが、同構造をもったハーレーベースのドラッグ仕様エンジンもあることから説得力は薄い。
星型エンジンでは必須の主&副コンロッド構造もこのエンジンを特徴づけるためにあえて採用した、というところであろう。
ちなみにV型エンジンで主&副コンロッド形式を採用したエンジンは存在する。ルノーの航空機用エンジン(1917 Renault V8 190HP)
エンジン設計には著名なデザイナーTony Foale (日本では Project QL および Q2 で知られている)の協力を得ている。
もう一点はカムシャフトで、通常のOHVエンジンではカムシャフトはクランクと平行(横置き)となるが、ゴジラエンジンでは縦置きで設置されている。さらにカム山には25度の角度のついた円錐台形状(コニカルロブ)となっている。これによって4本の吸排気バルブを1本のカムシャフトで駆動することを可能にしている。(よく知られているように、最新のハーレーのビッグツインは各バルブに1本のカム、計4本のカムを有している!)
この縦置きカムシャフトは1930年代のメルセデスのGPマシンで採用されているという。
この構造により、OHVのプッシュロッドがきれいに4本、平行に並んでいる。
ポラリス製新型インディアン111も同じく4本平行のプッシュロッドを有しているが、こちらは3本のカムシャフトでそれを実現している。
2つのバランサーを有している